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とろん
しかしキミはスープを飲んでも体が温まることはなかった。それがなぜなのかはっきり解らないが、不安と焦燥が心の中で渦巻いているのは間違いなかった。
スープで体が温まったらしいワタシは暫く凍えるキミの代わりにゴミをくべていたが、くべるゴミも底を尽いた。
キミは体が温まっていなかったが、くべるゴミもないとすれば火の始末をするより他に仕様がないので火を消すことにした。
ワタシはとろんとした瞳で欠伸をする。
「とても疲れたよ。本当に長かった」
うつらうつらとするワタシをキミは揺すって起こす。
「こんな所で寝たらいけませんよ」
「……うん」
言葉では頷いているものの、実際に首を振る力もないようだ。
今のワタシは体が温まっているからいいだろうが、部屋が暖かく無い以上、このまま床で寝てしまったら凍えて死んでしまう。
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