告白の予告

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「なに飲む?」 出石さんは、冷蔵庫を開けて聞く ホントだ、いろいろ揃ってる 「ワインもあるよ」 「じゃ、ワインいただきます」 「オッケー、準備するね、座ってて」 「は〜い」 なんだか安心する空間だ 部屋をぼーっと眺めてたら ワインと、おつまみを持った出石さんがやってきた 「あんまり見られると恥ずかしいな」 「え〜好きなものに囲まれて暮らすっていいなぁって思ってたんですよ」 私もいつか・・・ 「ありがと」 「では」 「「乾杯」」 「それで、祥子さんとは?」 しばらくワインを堪能してから聞いた 「河合さんの初めての放射線治療の日にね、気になって治療棟に行ってみたの」 「え?その日は会ってないですよね?」 「うん。河合さんには会わないようにしてた。ごめん。そしたら、その先生に会って」 「祥子さんも、私を見に来たの?何も言ってないのに..なんで知って...」 ゆきちゃんにも言ってないから、知らないはずなのに 「様子がおかしかったからって言ってたけど」 「様子?あっ、あれか。酔い潰れたやつか」 出石さんはニコニコ笑ってた 「もしかして、それも聞いたんですね〜もうヤダ、あの時は祥子さんに散々脅されたんだからぁ」 「え、なにそれ!私は、お酒強いのに珍しく潰れてたって聞いただけだよ。脅されるって…面白そう」 「なに面白がってるんですかぁ」 お互い酔いがまわり始めてる? ケラケラ笑ってる 「酔い潰れて、ゆきちゃんと一緒に寝てるところを祥子さんに見られちゃって。あ、ゆきちゃんってのが祥子さんの彼女ね!あ、言っちゃった…内緒ね」 「そうなんだ!ほんとに先生とはなんでもないんだね、良かった」 「ないない...」 ん?良かった? 出石さんを見ると、バッチリ目が合ってしまって恥ずかしくなった 「先生は河合さんと反対のこと言ってたよ」 さっきまでの声のトーンから一変 真剣だ 「何て?」 「美樹は、ああ見えて弱いから」って 言葉が出なかった 代わりに涙が出てきた 「ちゃんと見てくれてて、支えてくれてる人がいるんだよ、1人じゃないからね」 私も微力だけど支えたい、そう言ってくれた そっか、泣いてもいいのか だって出石さん、私が泣いたら嬉しそうなんだもん いつの間にか隣に座っていた出石さんにもたれ、頭を撫でられながら 考えていた 「出石さん」 「ん?」 「ちゃんと治療が終わったら」 「うん」 「告白してもいいですか?」 「・・・ん?告白の予告?」 「はい」 「ん、楽しみにしてる」
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