幼馴染のあいつ

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幼馴染のあいつ

「優斗、重いからこの荷物持って。」 「怪力女のくせに何言ってんだよ。」 「はいはい、怪力女で結構、結構。早く荷物持って」 高校の帰り道に毎回おなじみのやり取りをしている。 私のことを女扱いしない、この男は今井優斗。 同じ日に同じ産院で産まれて、ずっと一緒のご近所さん。 家も近いから、高校の行き帰りを一緒にすることも多い。 優斗は一般的にイケメンの部類に分類されるようで、よく色んな女の子に声を掛けられている。 だけど、私の知る限りそんな女の子達と付き合ったことは無い。 イケメンで女の子に人気がある優斗に対して、私は名前からして女か男か分からない上にバスケをやっていて髪の毛はベリーショート。 おまけに背も高く、骨格もごつい。 そんなわけで、優斗には女扱いされていない。 こんな見た目のおかげで優斗と一緒にいても優斗ファンの女の子からも存在を除外されている。 そもそも、鼻垂れ小僧だった頃から知っている優斗のことを今さらどうのこうのとなる関係でもない。 私には密かに憧れている先輩がいる。 明日、高校を卒業したら、その先輩と同じ大学に入学する。
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