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お母さんの呑気な声で現実に我に返ると、
「優斗、早く行こう。お母さん、行ってくる。」
と優斗を急かす。
「写真ありがとうございます。それでは行ってきます。」
と言って地下鉄の駅に向かって歩き始める。
急いで後を追うけど、その後ろ姿も私の知っている優斗じゃない気がして、不覚にも緊張してしまう。
「快、遅れるぞ。早く来いよ。」
駅に向かうまで何を話していたのか全く記憶になく、幸いにも地下鉄は満員電車のため、優斗とも距離をとることができた。
大学のある駅に着いて、改札を出ると岳が待っていた。
ほっとした私は「岳~~」と言って、岳に走り寄った。
「快、おはよう。おぉ、まともに化粧するとお前美人だな。見違えったよ。優斗もスーツ着るとよりいい男になるな。」
「岳も背が高いから、スーツが似合うね。これで女の子からモテモテだね。」
とふざけながら3人で大学に向かっていく。
大学の門が見えてくると、新入生らしき人達がたくさんいる。
その人達から何故か視線を感じる。
スーツのタグが付きっぱなしだったかと確認してみるもついていない。
岳と優斗にもついていない。
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