オレの名は

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 そして以前は草むしりが高額で突っ撥ねた、ジジイ、ババアも息子や娘または孫の手を借りて受講していると口伝えで聞いた。  やはり、オレの技術はそんじょそこらのものではなかったのだ。  オレはひじきのような髪をかきあげると、自分の本名を、パソコンで登録するときやアクセスするときにしか思い出せないことをなぜか今になって考えさせられた。  なんともはや。と、嘆息することが多い。   インターネットで事業を起こしているのに、これはあからさまな体たらくだ。  全くの動画マーケティング会社まかせが露呈される体たらくだ。    ああ、そうそう、弟の野草めで坊やから連絡があった。  オレのガラケーは着信があったときに、カバーの充電を示すところがピカピカ光る。  このときもピカピカ光った。  ピカピカの横には、野草めで坊やと表示された。  今は男体山にいる、から会話は始まった。  「兄ちゃん今年後厄だろう、僕は前厄なんだ。だから一緒にオンライン祈祷しないか?予約はしてあるから、明日の日曜日なんてどうだい」  オレは二つ返事のOKだ。  「あと山登りじーさんも61だから受けたいって」  それも二つ返事のOKだ。  なにせ、弟が世話になっているのだから、逆にこちらが恐縮してしまう気持ちになった。  ただ、兄さんの海藻つかみ坊やが気になる。  兄さんの無事を祈る祈祷も出来ないか?と相談した。  「分かった訊いてみる」  次の日の日曜日にはオンラインで厄払いをしてもらい。兄さんの厄払いもしてもらった。  「兄さんどうしているだろう」オレは心配だった。それは弟も同じで「同じ坊やの付く通称を持つ身で兄さんの無事は看過できない」とのことだった。  なにより兄貴だもん。その言葉には心の通じ合う血をより感じさせた。
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