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オレは草むしり坊や、本名はよく覚えていない。
ちなみに42歳の後厄だ。
小さい頃からオレは草むしり坊やと呼ばれていたが、はっきりといつからかは覚えがない。
とにかく小さい頃からだ。
今でもオレを知る者はその渾名で呼び、本名を思い出す者は誰もいない。
オレだって忘れそうだ。
その弊害が、インターネットである。
なにかに登録するときにはかなり困るし、アクセスしてみて、ああそういう本名だったなと思い出すことが多い。
なんでこんな渾名なんだって?
小さい頃から草むしりが大好きだった。確か、小学校に上がりたてだったので6歳ぐらいから取り憑かれたようにむしりだした。
本当に取り憑かれたように、家の庭の草を満遍なくむしっているとき、雑草以外もむしってしまい両親から大目玉を食らった経験もある。
渾名はこの頃から定着したのかもしれない。
この草むしりを、小さい頃から続けてきた結果、いろいろな技術を身につけた。
手首の使い方や腰の落とし方、体重の乗せ方など、ありとあらゆる草むしりの型を開発していった。
その結果、1haの雑草を15分でむしる技術を会得した。
それでオレはこの草むしりの技術を他人に伝授して、それにより生計を立てようと考えた。
1回5000円。
こんな高額では誰も飛びつかない。
1ha15分といっても、草むしりぐらい自分の経験で十分という農家がほとんどだった。
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