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(地鳴り?)
いつもと違う朝は
奇妙な地を這う音で始まった。
違和感・・・
布団から起き上がろうとした途端、
地面が突き上がり、
ドーン!!!床が落ちた!
2階は一気に1階を押し潰し、
砂煙の中でもまだ揺れ続く、
生まれて初めて経験した大震災。
「みんな!おるか?!返事しろ!」
「勇生ぉ!夏、ナッチャン!
お義母さん!お義父さん!」
煙と闇から両親の呼び掛け、
「お母さん!大丈夫や!」
「親父も怪我ないかあ?!」
「ワシもバアサンも無事や!」
答えながら家族が
私の部屋に集まった。
家族全員2階に寝ていたことが
命を救った。
しばらく6人で身を寄せて
薄闇に眼が慣れてくると・・・
「 ない 」
家族が口を揃えた。
家の横にあった店、
祖父が大事にしてる店が
瓦礫になっていた。
でも、呆然としていたのは
僅かな間だけ・・・。
「ああ・・・た、助けてぇ」
揺れの合間に
近所の人の声が幾つも聞こえた。
「どこや?!」
祖父と父、弟の勇生が
靴を履いて飛び出していった。
母は用心深い人間で
「火事と地震は予告なしや。
いつも枕元には靴と上着!」
これが口癖。
私達家族の枕元には
上履き用のバレージュースと
上着が常備してあった。
私も靴を履いて、ジャケットを着て
道路へ出た・・・出たら!
私の町が、傷だらけで
呻き声をあげていた。
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