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「なんやぁ・・・これは・・・」
「ここだけやろか?他所も?」
祖母と母が後ろで呟いて
(そ、そう!俊太郎さんは?!
俊太郎の里は無事やろうか)
不安が過った。けれども
「余震や!頭、守れ!」
激しい揺れに、誰かの怒号、
「ナッチャン!うちは潰れてない!
早く、みんなうちへ!」
近所の人に手招きされて
頑丈な鉄骨の家に避難。
そこから夕方まで記憶が曖昧、
助け出された人の手当て、
火が上がるとバケツリレー、
いったいどんな災害なのか
見当をつけてくれたのは
手回しラジオだけ。
どうやら、淡路島と兵庫が
中心の地震だと。
(そしたら、俊太郎さんはきっと
無事なはず・・・きっと)
私も、周りの人も少し冷静さを
取り戻した夕方・・・独りで
壊れてしまった家と店へ
なんとなく足が向いた。
カラスが啼いて余計に
虚しさが募る目の前に
人影・・・・
「ナッチャン!!」
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