ミックスジュース🍹

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冬なのに汗だくの俊太郎が そこにいた。 「なんで?!家じゃないの?!  大学にいたの?!」 「・・・・家や・・・・」 ぼんやり答える俊太郎。 「家って・・・・電車も  バスもないのに、どう、」 「・・・ったあ・・・・」 「え?」 「よかったあああ!よかった!  よかった!よかった!よかった!  よかったあああああ!」 俊太郎は両手で私の両手を ぎゅっぎゅっと握って 「しゅ、俊太郎さん?」 「よかった!よかったあ・・・・」 膝を地面に崩して泣き出した。 「『神戸壊滅』ってテレビが」 「テレビ?!」 当事者の私達が全く知らない報道。 「いろんな町・・・燃えてて  もういても立ってもおれんでぇ」 大阪市内の友人宅まで弟のバイクで そこから尼崎市手前まで 友人のバイクで、あとは 線路沿いやらを迂回しながら 歩いてきたらしい。 「アホやなあ、寒いのに  大汗かいてぇ・・・」 俊太郎の背中に涙を 落としてしまってた。 「アホなんや、僕は・・・  ナッチャンのおらん場所では  息もでけへん・・・・  ナッチャンがおらんのやったら  生きてる意味がないんやあァァ」 子供みたいに泣きじゃくる 十歳上の俊太郎が 可愛らしくて、可愛らしくて 背中を抱いた腕・・・ 離せんかった・・・。  
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