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「家庭を大事になんかしてないですよ」
「そんなに謙虚にならなくていいよ」
タカオカさんはどんな顔をして喋っているのか、記憶に刻みつけたくて眺める。
やっぱり海を見ていて、横顔が見える。膜が張ったような距離を感じる表情じゃなくて、自信の溢れている表情が見える。上背が高く見えるほう。
「子育ては誰だって大変だよ。1人で抱え込まなくていいし愚痴ったっていいし、旦那の悪口を言ったっていいんだよ」
あはは、と笑ってしまった。
今日のタカオカさんは妙に優しいな。
なんで子どもができちゃったんだろうな。でもまぁ、そんなものなのかも。
瑠璃ができた時も欲しくてたまらなかった訳じゃないし、子どもってやっぱり勢いなのかも。
それに私が子育てに向いてないのは変わらない。やっぱり、どうして子どもができちゃったんだろうなんてクズな発想をするんだ、私は。
「自己卑下しすぎだよ」
タカオカさんが私を見た。表情に少し距離を感じる。
「逃げないでさ、考えな。せっかく俺が目の前にいるんだから。子ども、どうするの?」
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