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タカオカさんは黙る私を意に介さず、淡々と続けた。
「離婚しないの?」
「簡単にできることじゃないですよ」
「したいと思わないの?」
「思っても、できるかどうかは別ですよ」
「みなみさんならできそうだけどね」
タカオカさんは私が青ざめているのに気づかないんだろうか。
もともと、私の気持ちになんか興味はないのかもしれない。
私がしてくれること。何をして喜ばせてくれるのか、それだけに興味があったのかも。
分かってもらうために必死で訴えることが、どうしてもできない。暖簾に腕押しの感がある。
「俺は結婚っていうものがあまり好きじゃないんだよね」
「……」
「人との関係って変わるよね。離れたくなった時には、離れるほうがいいんだと思う」
「……」
……そういえば、こんなツイートをしていたなぁ。思い出した。
“今日も良い時間を過ごした。心落ち着ける人と過ごす時間に満たされる。いつか離れる時が来るかもしれないし、来ないかもしれない”
いつの間にかタカオカさんのフォロワー数は3500人を超えていたし、私のフォロワー数も2000人を超えていた。
タカオカさんの話を聞きながら(落ち着こう、落ち着かなきゃ)と心の中で繰り返し、自分に言い聞かせた。
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