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「日曜、そっちに行くよ。みなみがこっちに来れないなら、瑠璃を預かってくね」
「……仕事しながら瑠璃を見れるの?」
「時短勤務もあるし、何とでもなるよ。こっちだったら実家も近いしね」
「…………そっか。そうだよね」
電話を切ってしばらく、静まり返ったリビングで考え込んだ。
「子どもはこっちで産みたい」と考えたのは、病院のこともあるし、お腹の子どもの父親がいる神戸のそばで暮らしたいと思ったのもある。
住んでいる場所も離れてしまえば、心も完全に離れてしまう気がした。
瑠璃と離れるのは仕方ない。これは元からずっと覚悟していたと思う。離れたいと願っていたこともあるのだから、今さら嘆くようなことじゃない。
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