タカオカさんとの距離

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タカオカさんとの距離

 神戸ハーバーランドで会ってからしばらく経つと、タカオカさんと距離を置きたくなってきた。  LINEも途切れていたし、思い切ってTwitterのフォローを外した。タカオカさんのツイートを毎日見るのはしんどくなっていた。  一週間ほど経つと、私もタカオカさんからフォローを外されていた。  でも共通のフォロワーさんが150人程度いるので、リツイートやリプライをフォロワーさんがすると、タイムラインにはタカオカさんが出てくる。    ある晩、タカオカさんと共通のフォロワーさんとリプライ交換していたら、タカオカさんがスペースを立ち上げてきた。スペース機能を使うと、Twitterの中でzoom会議みたいに話せる。  夜中の1時55分頃に始まって「2時まで」と書かれていた。タカオカさんがスペースを立ち上げるのは珍しい。  ちょっとだけ話すこともできるんだ、と思った。でも何となく参加しなかった。  タカオカさんはさりげなくタイムラインに現れるような気がした。  大学教授の著述家アカウント、「士郎(しろう)」さんのツイートを読み(あさ)って沢山いいねをしていたら、士郎さんの質問箱(しつもんばこ)に一風変わった質問が届いたようで、回答が続いた。 「急に女性に冷められてしまって悩んでいます。どのようにアプローチすればいいと思いますか? 1. 連絡をあえて取らずに半年間距離を置いてから再度、様子を見て連絡する 2. 常に様子を見て適宜(てきぎ)連絡を取ってみる」  この質問には目が吸い寄せられた。士郎さんアカウントに質問を寄せるのは主に女性で、情緒に(うるお)いを感じる質問ばかりだから、異質さを感じた。         Twitterにリンクした質問箱に質問を寄せるのは完全に匿名だし、無料で簡単だから、誰が質問したっておかしくはないけれど。  士郎さんの回答はクールなもので「女性は一度冷めたら、もう関わりたくないそうですよ」とか、そんな感じだった。  続いて士郎さんが京都と大阪の違いを語るツイートをすると、間を置かずに 「僕は神戸住みなので何となく分かります」 とメッセージが寄せられたようで、質問箱が続けて公開された。    もしかしたらタカオカさんだろうか? 公開されてる私のいいね欄を見たのかな? まさかね……考えすぎだと思う。でももしかしたら? やっぱり分からない。  
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