そして春

3/4

80人が本棚に入れています
本棚に追加
/91ページ
 タカオカさんがTwitterのタイムラインに現れるたび、心がほんのり暖かくなった。  フォローを外して拒否したのに、気にかけてくれていてさり気なく現れる。  共通のフォロワーさんの平原(ひらはら)由貴(ゆき)社長のツイートが興味深くて、いいねを連続してつけていた時のこと。  急にタカオカさんが平原社長にリプライを送り、やりとりを始めた。  普段タカオカさんと平原社長はあまり(から)むイメージがなかったから、突然だった。  やりとりが少しぎこちなくて、平原社長は戸惑っているようにも見えた。  私にも2200人を超えるフォロワーさんがいるから、他の人達と比べるとやっぱりタカオカさんの動きは不自然で、私を意識しているような気がした。  偶然にしては、あまりに回数が多すぎる。そう思うと胸の中がほんわりと暖まった。  私のいいね(らん)をきっと見てくれているんだろうな。そう思って、私もタカオカさんのいいね欄を見に行ってみた。 “そばにいてくれる人を、大事な人を、大切にするのです。離れてしまってから後悔したって遅いのです。もう2度とその人は戻らないかもしれません”  タカオカさんがこのツイートにいいねをした形跡があって、目を奪われた。  これは流石(さすが)に考えすぎかもしれない。いや、でも。  基本、ポジティブで明るいツイートにいいねをつけるタカオカさんの趣味を思うと、このツイートに共感していたというだけで嬉しかった。
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

80人が本棚に入れています
本棚に追加