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絵画ならではの価値も、きっとあるんだと思う。
でも、言い値で高く売れるのはきっと「欲しいから」っていう理由だけじゃないんだろう。
オンラインサロンでタカオカさんが何気なく喋った、アートが高く売れる話はずっと脳裏に引っかかっていた。
その頃タカオカさんに強く感じていた、謎めくような不可思議な魅力は少しずつ失せていく。
それでも当時に感じていた甘酸っぱいときめきは、その時のままに思い出すことができた。そして今、理緒を抱いている。
理緒を父に抱っこしてもらい、スマホの写真フォルダをぼうっと眺めた。瑠璃の写真をざぁっとスクロールして飛ばす。
タカオカさんを知った頃、気になるツイートをスクショして残していたのが目に留まった。
今になって当時のツイートを読み返したくなる。
“あいまいな繋がり
でも、確かにあるやりとり
笑顔
宙に消えてしまうかもしれない。
でもなぜか、光のようで
新しい自分につなげてくれる
そんな存在”
きっとこれは私のことだったと思う。深夜にタカオカさんがツイートして、ドキドキしながらスクショしたのを思い出していた。
知り合って間もない頃で、私も全く同じ気持ちだった。
好きで焦がれるような気持ちは今でもやっぱり、心の中に燻り続けている。
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