再会

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再会

 私は尼崎(あまがさき)のアパートに戻って、理緒(りお)と二人で暮らし始めた。  色々なところへ散歩に出た。  クリスマスが近くなると、街はイルミネーションできらきらと明るくなる。  私は夜型だから、理緒を早く寝かせる気にもなれず、外が暗くなっても連れて歩いた。  時々、電車に乗って芦屋(あしや)の辺りにも足を伸ばした。  芦屋に住んでいた頃、瑠璃(るり)とあまり外を歩こうとせず、家に引きこもっていたのを今でも悔やんでいる。  理緒を連れて歩くことで、瑠璃に何が伝わるなんて(わけ)はない。  それでも、ここをもっと歩きたかったなぁ、ここも、などと思いながら懺悔(ざんげ)するかのように歩いた。  何てこともないような道の横に走っているJR神戸線だって、すぐ(そば)の線路沿いが小高くて見晴らしがいい。  線路が広く並んでいるのを見渡せて気持ちいい。  時々電車が轟音(ごうおん)を立てて通り過ぎる。それだけで本当に、すごい迫力だ。  ひたすら歩いていくと、この辺りで一番華やかなショッピングモール、阪急(はんきゅう)西宮(にしのみや)ガーデンズが目に入った。
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