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 洞の穴に上半身を無造作に突っ込んだ少女は、なにやらゴソゴソと枯草を退かすような音を立てると、すぐに洞から出てきました。 「よっしゃ! 晩御飯のおかず確保!」  その両腕には少女の顔よりもずっと大きな、食用キノコが抱えられていました。傘は閉じていて、それでいて幹は太く、香りから察するに出汁もよく取れそうな代物です。  光の玉も少女の感情に同調しているのか、嬉しそうに少女の周りをぐるぐると素早く回っていました。 「じゃあ、早いところ引き上げましょうか。時間も割と掛かったし」  そう言ってキノコを腰のポーチにずんぐりと押し込むと、少女はその手を膝元のローブで叩いて汚れを落とし、ふんすと気合いを入れました。  そして一歩を踏み出して、枯葉を踏んだところでその足を止めます。 「はぁ、どうしてこう次から次へと面倒な……」  思わず額に手を当てた少女の視線の先には、足音を忍ばせ、ゆっくりと近づいてくる狼たちの姿がありました。
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