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隼人くんが眠ってしまってからは、春奈ちゃんちのリビングでお茶うけ食べながら、女子会トーク。信玄餅久しぶり。
「結局春奈が一番早くママになったんだね」
黄粉にたっぷり黒蜜を掛けながら、映子がしみじみ言う。
「あ、でも順当じゃない? 春奈、いい奥さんになりそうだったもん」
映子のセリフにしみじみ美子が相槌を打つ。
私、思うんだけど、信玄餅って、おしゃべりしながら食べるのに向いてない。大声出すと、黄粉吹き飛ばしそうになるし。小さな楊枝でお餅を取るのに悪戦苦闘して、私は二人の会話になかなか入っていけない。
「次、誰だろうね」
映子が意味深な笑みを浮かべて、私たちを見回すと、春奈ちゃんがふふっと笑う。
「そりゃもちろん、雛ちゃんでしょ」
断言するから、一気に矛先がこっちに向いた。焦って飲み込んだから、黄粉が喉に引っかかって、むせ返りそうになる。
慌ててお茶を飲む私の横で、映子と美子は、新たな話題で盛り上がった。
「あ! そうだ、雛が持って行ったんだ、春奈の投げたブーケ」
「つーか、めっちゃイケメンに抱っこされてたよね。雛の彼氏だよね!」
1年も前のことなのに、よく憶えてるなあ、みんな。
春奈ちゃんから受け取ったブーケのは、専門の業者に頼んで、プリザーブドフラワーにしてもらった。
春奈ちゃんにとっても大切なものだけど、あの日あの瞬間は、私にとっても一生忘れられない記念になったから。
「あはは…えっと、うん。今度結婚する…予定…」
自分で言っておきながら、めちゃくちゃ照れる。
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