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持っている刃とその子を合わせながら呟く。
「背中がいいな」
そして、強引にその子の背中に乗り、押さえつけ細長いタオルを口に巻いた。
言葉にならない声を出すその子を無視して、背中に刃を押し付けた。
その子の背中からは赤い血が床に流れ出す。
「まだまだ」
父さんは嬉しそうにそう言うとカッターナイフを動かしている。
動かされる度にその子の足の指はビクビクと跳ねるように動いていた。
僕はその様子を瞬きもせずに見ていた。
痛みからどんなに声にならない叫びをしていても、大量の涙が瞳から流しても、身体をよじらせていても父さんは手を止めることはしない。
「こんなもんかな」
カッターナイフの刃をカチカチと戻しながらゆっくり立ち上がり口角を大きくつり上げた笑顔でその子を見ていた。
その子の背中は血で真っ赤になり、何かは分からないが文字が書かれている。
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