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騒がしい朝
「ちょっと!待ちなさいよ!」
聞き慣れない甲高い声で、チヨメは目が覚めた。太陽を見てみれば、いつも起きる時間をとっくに過ぎている。
「なんの騒ぎ……?」
先日、海軍との一戦があって以来、極力安全な港に船を留めいてるはず。でも何かあるといけないし。と、とりあえず剣と煙草を持って、眠い目を擦りながら、キッチンではなく甲板へ続く階段を登る。そこには見たこともない女……いや、女の子というべきか。
チヨメより少し高めの背に、スラリとした体。でも顔には幼さが残っており、恐らくチヨメの二、三個下といったところだろう。が、ルイスに向かって叫んでいた。
「朝から煩いねんけど……なんの騒ぎ?迷惑甚だしいんやけど……あ、おはよう」
寄ってきたヤマトを撫でながら、チヨメは同じく様子を見にきていたらしいシュウジに声をかける。
「いや、なんか朝からアイツがルイスに向かって、それはもうギャンギャンうるさいのよ……おはよ。今日は寝坊助だね」
朝から?とチヨメは首を傾げた。もうお昼前といってもいい時間だが、何時間この調子なんだ。
「昨日なんか寝れやんくてさあ……てか、あの子誰?」
チヨメとシュウジがひそひそ話していると、その少女がパッと振り向いた。
「あっ!あなた……!」ピシッと指を指されたのはチヨメ。
「え?あたし?何?どちら様ですか?」
いきなり標的が自分になり、さすがのチヨメも驚いたらしい。だがそんな事は気にしない様子で、少女はズカズカと我が物顔で甲板を歩いてくる。
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