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不機嫌
「それはこっちのセリフよ!ねぇ!ルイス!誰よこの女!」
チヨメを指差したままルイスを振り返る少女は、怒り心頭といった様子。
「この間仲間に入れた子……もういいでしょ。そろそろ出ていってくんない?お前がうるさいせいで、チヨメも起きちゃったしさ」
チヨメと言って伝わるのだろうか?と一瞬チヨメ自身が思ったが、女の勘というのは少女も持ち合わせているらしい。少女がチヨメを睨みつけて、また金切り声を上げた。
「何!?アタシよりこの女のことを心配するの!?ちょっとアナタ!何様のつもり?ルイスの何なの!?」
うるさい。チヨメはシンプルにそう思った。チヨメは自分で起きれば比較的穏やかだが、起こされた時の寝起きの機嫌の悪さは一級品。
だからルイスは、“チヨメが起きちゃった”と言ったのだが、それを知るはずもない少女はチヨメの逆鱗に触れたのだ。
「何様?自分が何様?つか、誰?人の船で騒ぐなよ……人様に迷惑かけるなって教わらんだか?」
ポケットから煙草を取り出して火をつけた。その威圧感に少し怯んだのか、少女が少し後ずさる。
「アタシが先に質問してるんでしょ!先に答えなさいよ!もしかして、人からの質問に答えるって親に教わらなかったのかしら?」
その言葉にチヨメが煙草を消してご丁寧に携帯灰皿に捨てると、無言で剣に手を置いた。その様子を見ていたシュウジはなんとか止めに入ろうとするが、邪魔をするなというようにチヨメに睨まれて動けない。
「……もう一回言ってみ?」
剣を抜こうとしてるチヨメの肩を誰かが叩いた。
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