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少女の正体
「まあ、落ち着きな?はい、お茶」
フローレンスだ。よかったぁ。とシュウジが胸を撫で下ろすと、チヨメが剣から手を離して、フローレンスからお茶を受け取る。
「ありがとぉ……で?この子誰?」
お茶で落ち着いたらしいチヨメがフローレンスに問いかける。
「ルイスの知り合い?なんか朝から船に来てずっとあの調子なの」
それより先にロロネが答えた。いつの間に?と思う一同と、ロロネより遅く起きたことに驚くチヨメ。
船員たちの起きる順番は大体決まっていて、ロロネは全員の朝食が済んだ頃に起きてくるのだ。すっかり寝坊したんだなぁ、と少しがっかりするチヨメ。だがフローレンスはどれも気にしない様子で説明を続ける。
「多分……まあ、そういうことなんだとは思うんだけどね」
呆れた様子のフローレンスに、チヨメは何となく事情を察した。
「要するにアレ?船長とあたしがデキてんじゃないの?って話?……ありがと」
グラスをフローレンスに渡しながら身も蓋もない言い方をするチヨメに、フローレンスの隣にいたロロネが吹き出した。
「ハハッ!まあ、そういうことだろうね」
その一連の流れを聞いていた少女が、カンッ!といい音を立てて甲板を踏み締める。その後に全員がそちらを向けば、腕を組んで仁王立のまま辺りを見渡した。
「アタシはレベッカ!イヴリー海賊団に所属しているわ!ルイスとは昔からの知り合いよ!」
どうだ!と言わんばかりの挨拶に、チヨメはきょとんとする。
「イヴリー海賊団?」
チヨメが首を傾げると、シュウジがチヨメの方を見る。
「ルイスの親父さんの海賊団。ルイスは元々バイキング家系出身なのよ」
あぁ、なるほど。シュウジの説明により、なんとなく関係性を察したチヨメ。
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