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決闘
ルイスが叫ぶのと同時に、剣がぶつかる音が甲板に響いた。
「……シュウちゃんのフレンチトーストの邪魔、せんといてくれるかなあ?」
いつの間に剣を抜いたのか、前を向いたまま背中に剣を沿わせるようにして、レベッカの剣を受け止めるチヨメ。
「じゃあ今ここでアタシと決闘しなさい!アタシが負けたらもうあなたに文句はつけないわ。けど!アタシが勝ったら、あなたこの船を降りなさい!」
それを聞いたルイスが、間髪入れずに声を上げる。
「なんでチヨメがお前の言う事聞かなきゃいけないの?意味わかんないから、とりあえず黙って船降りてくんない?……チヨメ、ご飯食べてきていいよ」
呆れたルイスが二人に声をかけるが、チヨメはにっこり笑って振り返った。
「その決闘、お受けしましょう」
「ちょ!チヨメ!」
止めに入ろうとするルイスだが、フローレンスがそれを引き留める。
「大丈夫だって、チヨメが負けるわけないでしょ」
その言葉にロロネも頷いた。
「そうそう、チヨちゃんには勝てないよ」
でも。と食い下がるルイスに、シェリーとリュドミラが顔を見合わせた。
「大丈夫でしょ、チヨメ強いもん」
と、シェリー。
「ま、あの子がどれだけ強くても、チヨメには絶対勝てないよ」
と、リュドミラ。
「……早く終わらせろよ。フレンチトースト焼いとくから」
シュウジまでこの始末だ。ルイスは他に誰か止めてくれる人はいないかと探す。だが生憎ここにいる誰も、二人を止める気がないらしい。エリックなら止めてくれたかもしれないが、そのエリックは作業場で仕事をしていてここにはいない。
「何、あなた……そんなに強いの?」
その様子に少し怖気付いたのか、レベッカが剣を下ろした。
「それはやってみないとなんとも。で?どうします?私はいつでもいいですよ」
剣を構え直してチヨメが向き直ると、レベッカも慌てたように剣を構え直した。
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