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彼に突然「一緒に行きたい場所がある」と言われて連れて行かれた場所
がある。
明らかに廃墟みたいな場所で、少し彼のセンスを疑ってしまった。
中も薄暗くて汚れが目立っていて、女の人が1人座り込んでいた。
ぼさぼさの髪を振り分けながらこっちへ近づいてきたが、鼻がおかしくなるような匂いがしたため、一歩後ずさってしまった。
女は私に軽く会釈した後、彼と話し始めた。
あまりにも小さい声で聞き取れなかったためか、彼は女に近づいていく。
突然彼がうめき声をだしたかと思うと、苦しみながら倒れた。
なぜか、肌が紫色に変色している。
「キャー------!!!」
思わず叫んで、彼を蹴飛ばしてしまった。
女の前に彼は転がっていき、女は声をあげながら笑い出した。
あまりの不気味さに思わず、反吐が出そうになった。
その女の右手には注射器が握られている。
「彼に何をしたの?!」
自分でも驚くほど大きな声がでた。
「この人は死なない。一度リセットするだけ。」
「は?あんた何言ってんの?こんなことしといて、ただで済むとでも思ってんの!?」
彼は未だに声をあげてもがいている。
私は彼が大好きだ。
だからこそ、これ以上苦しまずに早く死んでほしいという願いと、どんな姿になっても良いから最後まで一緒にいたいという気持ちが混ざり合っている。
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