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「この人は小さい頃に父親から暴力を受けていた。
母は止めようとしたけれど、父親から「邪魔するな!お前は引っ込んでろ!」
と言われ、泣きながらその光景を見つめるばかりだった。
一度だけ母は反抗した。
両手で包丁を握りしめて、父親に「これ以上子供を苦しめるのをやめて!」
そう言い母は父親の腹に向かって行ったが、殴られて包丁を落としてしまった。
その間に馬乗りになられて母の顔を数発殴った後に、母が落とした包丁を拾い心臓めがけて刺した。
一瞬にして血が飛び散り、床を赤に塗らしていった。」
流暢に聞き取りやすい声で話しているが、私には疑問しかわいてこなかった。
「待って。なんであんたがそんな事知ってんの?
どうせ作り話とかじゃないの!?」
「作り話なんかじゃない!この人は私のお兄ちゃんだから!!」
彼に妹?そんな話聞いたことない。
今思えば、彼から家族の話など聞いたことがない。
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