いつもの朝

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いつもの朝

ピピピピ、ピピピピ... 目覚ましが鳴る。最近朝がダルイなぁ。 2,3回手を振り回して目覚ましをストップ。着替えて、身支度してからリビングに降りる。 今日は母が早番なのだろう。ご飯に味噌汁に卵焼きが作り置いてある。私の好きな和食だ。チョットうれしい。 のんびりとした朝だ。テレビでは大統領選のニュースが流れている。いつも思うけど、海の向こうの遠い世界のニュースってみんな楽しいのかな。 「いってきます。」 誰もいないけど、挨拶はきちんとする。そうでないとなんとなく締まりが悪いのだ。 私はこころ。高校2年生に上がったばかりだ。友達からはよく、いい子だとか純粋だとか言われるけど、自分ではよくわからない。 なんとなく高校生活を送ってたら1年が過ぎていた。最近は...カラオケとバイトしてスマホいじってたらなんとなく1日が終わってる。イマドキの高校生って感じ。イマドキって古いかな? 雨は降ってない。でも晴れ渡る快晴とまではいかず、フツーの天気だ。 高校までは徒歩20分くらい。住宅街を抜け、道路に沿って歩いていく。 「おはよう、心。」 見知った声が聞こえる。 「おはよう、シオン。最近ゆっくりだよね。」 「行事がないからね。生徒会の仕事って実は大したことないし、朝くらいゆっくりでいいかなって。」 「そっかぁ。しばらくは一緒に登校できそうだね。」 クラスメイトのシオンと登校するのも慣れたなぁ。2年に上がってからのクラスメイトなのに、今じゃすっかり友達として馴染んじゃってる。 道路に沿って歩いていく。小さな公園を過ぎると、駅前の賑わいが聞こえてくる。 シオンと会話するうちに、少しずつ目が覚めてきた気がする。 「そういえばさ、クラスに転校生来るんだって。昨日ホームルームでカミジョーが言ってた。」 「知ってるよ。高階(たかしな)さん。」 「え?情報早くない?生徒会?」 「学芸祭関係でね。先生から先に教えてもらってたの。行事は生徒会とりまとめだから、人数増えると調整しないといけなくて。」 そういえば、6月は学芸祭だ。合唱、書道、美術作品があるけど...今年はどうしよ。 「学芸祭かぁ。今年はあえて書道とかやってみよっかな?」 「心は、書道とか、経験あるの?」 「全然!初心者!」 「新鮮でいいんじゃない?書道も。」 うーん、あまりいい話の流れじゃないかも。シオンにも悪いし。何か話題あるかな... 「そうそう、中学の時に高階(たかしな)って苗字の子が友達だったの。高階ソラ。転校しちゃってからはあんまり連絡取ってないんだけど。」 「どんな子なの?」 「すっっっごくノーテンキ。空気読んでるのか読んでないのかよくわかんない感じ。でも気遣いとかあんまいらないし、一緒にいて楽しかったな~」 「心っていい子だよね。」 「え?何が?急だね?」 「誰かの紹介するとき、最後には絶対いいこと言うよね。人のいいとこ見つけるの得意じゃない?」 「うーん、そうかなぁ?」 褒めるのは無意識にやっちゃうけど、褒められるのは苦手だ。上手く返せない。 駅前を通り過ぎてしばらくすると、新しい校舎が見えてくる。数年前に建て替えたうちの高校だ。 「もしかしてそのソラちゃんが帰ってきたんじゃない?」 シオンが冗談めかして言う。うーん、なくはないかなぁ。 「まさかぁ。シオン、名前聞いてないの。」 「苗字しか聞いてないよ。残念だけど。でも着けばわかるでしょ?」 確かに。でも流石に都合よすぎる気がする。そうだったらいいなぁ。
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