1・僕

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1・僕

とても寒く空気の澄んだ朝のことだ。 吐く息は白く、あまりの寒さに耳は痛かった。 この時間にこの駅のホームを利用するのは自分一人だったが、この日は違った。 黒いまっすぐな髪を肩のあたりまで垂らし、グレーのダッフルコートに濃いピンクのマフラーに口元まで顔を埋めた女の子がいた。 耳にはイヤホンをしていて、黒い大きなリュックを背負っている。 コートの裾から紺色のプリーツスカートがのぞいているので、高校生なのだと思った。 今日から利用するということは、転校生だろうか。 一両編成の電車で、ちょうど向こう端の乗車口あたりにその子は立っていた。 僕はその子に気づいた時、横顔が綺麗だと思った。 朝日に照らされて、彼女の周りがキラキラと光って見えた。 女の子を見てそんな風に感じたのは初めてだった。
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