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この5人が固まったのは必然的な流れだったのかもしれない。 サトシとクラスが離れた僕は、入学して数日はサトシの元を訪れていた。しかしそんなことをしていれば先に友人ができるのはサトシの方である。休み時間に彼の机の前でしゃがむ僕の隣に現れたのは、今より少し髪が短いシュウだった。 それでも彼は着崩した制服に微かなタバコの香りを振りまき、頻りに指の骨を鳴らしていた。もしかしたらサトシが高校デビューしてしまうのではないかと不安に駆られたが、そんなことはなかった。 すぐに陽気なグッチも加わり、僕は僕で同じクラスのユキという秀才を紹介し、この5人が形成されたのだが、シュウは会話の真ん中に立つこともあれば一歩引いて俯瞰的に見ることもあった。誰かが喋らなければ然りげ無く話題を振り、触発されたかのようにグッチが話題を引き延ばす。それにツッコミを入れたり同意したりするのが僕とサトシの役目で、ユキはいつも冷静だった。 ぬるりと嵌ったピースのようだった。 もう直ぐで中間テストが始まる。窓際の一番前の席で僕はぼんやりと校庭を眺めていた。1年生が体育の授業をしている。1つのボールを追いかけて大勢の男子生徒が縦横無尽に駆けていた。コートの端にはそれを見守るかのように女子生徒たちが並んでいる。 机の下に隠しながら、ポケットから便箋を抜く。誰に見られているわけでもないが、僕はそれを開いてノートの下に滑らせた。ゆっくりとずらしながら、再び紙に書かれた文章を黙読する。 16時半、部活に所属していない僕は5時間目が終わって1時間ほど余裕があることになる。どこで暇をつぶそうかと思ったが、すぐに頭の中が切り替わった。 文字だけでは判別できないが、丁寧な字体はきっと女子だろう。だとするとこのクラスにいる誰かなのか。それとも校庭にいる1年生の女の子だろうか。後輩とまるで接点はないものの、誰かが自分に恋い焦がれているのかもしれない。 今まで恋愛の経験がないからこそ、妄想は膨らむばかりだった。 このクラスで言えば有村七海がいい。彼女は僕が今ハマっている女性アイドルグループのメンバーに顔が似ているのだ。そんな彼女から告白されれば、男ばかりの高校生活がぐるりと動き出すかもしれない。 しかし誰かのいたずらということも十分に考えられる。僕はゆっくりと視線を黒板に移し、よく分からない数字の群れを眺めた。年老いた男性教師がチョークを削って式を刻んでいる。僕は期待と不安を混ぜながら、放課後をどう過ごすか考えていた。
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