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大きく開いた景色に対して、湯船は大きいものではないが二人でゆったり入れるサイズだ。ゆっくり寛いで浸かればいいものを、リサは海側に寄ってじっと景色を眺めている。俺は美しい景色に最愛の妻の後ろ姿が入り込んだ、世界一いや宇宙一の眺めを堪能する。
宇宙一の眺めに浸っていると、ふと彼女が振り向き
「贅沢よね…明るいうちにいいお湯に浸かり、この景色…そして最愛の夫がいる…怖いくらいに幸せ」
少し困ったような表情で言う。彼女は本当に幸せだと感じると、母親が若くして幸せな時期に亡くなったことを思い出し不安になることがある。
「こっち来い、リサ」
彼女を脚で挟むように座らせ、一緒に海を見ながらゆっくり話す。
「いい景色だよな。この景色の中に最愛の妻がいる…最高の1枚の絵を見ているようで俺も幸せだと思っていたところだ。また一緒に来るし他の場所にも一緒に行く。ずっと一緒な」
そして、こちらに向かせて
「もっと幸せにする。こんなもんで怖くなっていてどうする?ふっ」
俺が笑うと明るい表情に戻ったリサは
「そうだね…ケンといたら幸せに限度がないわ」
そう言って笑い俺に口づけた。
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