コンビニアルバイト・番外編

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コンビニアルバイト・番外編

僕は大学院生だ。 大学院はとても楽しい。 勉強も研究も大好きなのだが、 文献や辞書を買うにはお金がかかる(泣) なので、週に5日、家の近くのコンビニで アルバイトをしている。 アルバイトをするのは主に昼間なのだが (夜はゼミのレポを書く時間にあてている) 仕事をていねいに教えてくれた店長に 時々泣きつかれると 夜にバイトに入ることが、ある。 この時もインフルエンザにかかってしまった バイトくんのピンチヒッターで、 夜中のシフトに入ることに なってしまったのだが…。 夜中のコンビニは… 正直な話、あまりお客さんがこない(苦笑) 来る時も波があって、 突然わ~っと人が入ってくることもあれば (これは酔っ払いの集団が多い…) 人1人まったく来ない時間帯もある。 その時、時刻は午前2時… 店には正に僕1人だった。 カウンターで宅配伝票の整理をしていた僕は ふいに声をかけられた。 「あのう…」 消え入るような声に思わず顔を上げた僕の目に 白いワンピースを着た女の人が立っていた。 …っていうか、いつ店に 入ってきたんだろう…??? 入口のチャイムは鳴っていなかったし…。 「な、何でしょうか…??」 驚いたあまり、思わず声がうわずる。 「人を…探しているんです…」 「人…ですか…??」 「ここで会う約束をしていて… ずっと待ってるんですけど…」 「そうですか…」 「彼が来たら…おしえてもらえませんか?」 「え…??僕がですか??」 返事をする代わりにふっと微笑んだ彼女は 突然消えた。 うわっ…!!!!ゆ、幽霊…????? 確かに彼女は僕の目の前で消えた…のだ。 ええええええ~~~~~!!!!????? 僕が目を白黒させているうちに 突然冷たい風が僕の顔をかすめた。 入り口のドアは開いていないのに…。 ぼんやりとした光がだんだんと人の形を作っていく。 「ちょっとお尋ねしたいんですが…」 続いて僕の目の前にすうっと現れたのは… メガネをかけていない 黒い服を着た、僕そっくりの男が立っていた。 だっ…誰~~~????? 「人が…女性が尋ねてきませんでしたか?」 あ…さっきの…女の人?? そう答える前に、彼は悲しそうに言った。 「やっぱり…めぐみがここに来たんですね?」 あの人は…めぐみさんというのか…。 「お願いです。めぐみをここに 呼んでもらえませんか?」 え…?どうして僕が…????? 「あなたは…僕だから」 「え…???」 そのまま、その男の人もすう~っと消えていく。 うわわわ~~~ん(泣)おかあさ~~~ん!!!! その日はそれっきり2人共現れなかった。 僕はこの世の中で一番お化けが苦手、だ…。 もう…ムリだぁぁ~~ 真夜中のバイトはぁぁぁ~~~~!!! これっきりで断るつもりだったのに…。 2日後、再びこの時間に 入ることになってしまった僕(号泣) インフルエンザというやつは 丸々一週間ほどかかる病気らしい。 あああ…こ、怖いよぉぉ…(震) 恐怖に震えながらもカウンターで仕事をする。 そして時刻は再び午前2時… やっぱり僕の前に「めぐみさん」が現れた。 「彼は…来たでしょうか…??」 「はい…あの後すぐに」 彼女は突然顔を手で覆った。 「ああぁ…ユノが…やっぱり来たんですね、 ここに…」 ユノ???僕と同じ名前??? 「由野さん…お願い、ユノに会わせて…」 ぼ、僕がですかぁぁ~~~????? 「心の中で彼に呼びかけて みてくれればいいんです…」 そんなの、どうやって…(泣) そう思いながらも、泣き崩れるめぐみさんが ちょっとかわいそうで 僕はいつしか怖さも忘れて、 夢中で心の中からユノに話すように問いかけてみた。 『ユノ…めぐみさんが…来てるよ』 すると… 冷たい風と共に「ユノ」が現れた…、 「めぐみ…やっと会えた…」 「ユノ…」 ユノが愛おしそうにめぐみさんをそっと抱きしめる。 ユノの胸の中で幸せそうなめぐみさんの姿は とてもきれいだった。 2人は恋人同士だったのかな…? なぜかそう思った。 「ありがとう、由野さん…」 涙を流しながらも、笑うめぐみさんに 僕は胸が熱くなった。 「僕たち、これでやっと成仏できます」 めぐみさんをしっかり抱き寄せたまま、 ユノが言った。 もうめぐみさんを離しちゃ、ダメだよ 僕は心の中で思っただけなのに 2人はゆっくりとうなずいた。 僕の目の前で2人の体はだんだんと ひとつの光に変わっていく。 天国に…行くんだ… 光が上に上がるように消えていく…。 僕は.夢を見てるのかな…??? 真夜中のコンビニ… 僕の目の前で 僕そっくりの男とその彼女は成仏していった。 彼は僕の祖先なのかも…。 その次の日から 僕は高熱を出し、丸3日寝込むことに (トホホ…) でも、いいことしたのかな…。
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