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初めての女性(ひと)
僕の初体験は、18歳だ。(いきなり何を…)
それが早いのか遅いのかは自分でもわからないけど、
嵐のように突然起こった?この体験は
きっと一生忘れることはできないかもしれない。
その相手である、ななこさんは
僕が通う大学の学生協でバイトする大学院生だった。
学生協とは…
学内にあるコンビニのようなモノで
普通のコンビニにあるような商品から
教科書や参考書、CDやコンサートのチケットまで
なんでも扱っている「よろず屋」みたいなところで
僕もよく利用していた。
店員の大半は
大学院の学生がバイトしているのもあって、
教科書や参考書に関しては
かなり適切なアドバイスをもらえたり、
僕みたいに大学院に進みたいと考えてる輩には
大学院進学のポイントなんかも
教えてくれたりするから
学生協の中はいつも学生でいっぱいだった。
東洋史で使う参考書を注文していた僕は
引換券を手に、その日も学生協に
足を伸ばしたわけで…
その時カウンターで対応してくれたのが
ななこさんだった。
「引換券…出してください」
そう言った彼女は
長い髪をゆるくポニーテールにしていて、
首にかかる遅れ毛が、ちょっとなまめかしかった。
ふんわりと香るのは、何の匂いなんだろう…??
ポロシャツにデニム、黒いエプロン、と
他のバイトの人たちと変わらない服装だというのに
なんでこの人はこんなに色っぽいんだろう???
僕がどぎまぎしながら、注文した参考書を手にした時
突然ななこさんが、僕の方に顔を近づけた。
「もっとわかりやすい参考書がたくさんある本屋、
知ってるわよ」
ななこさんのつぶらな瞳が
僕の顔に迫ってくるようで…
その仕草に思わず赤面しながらも
僕はその書店に一緒に行く約束を交わしてしまった。
2時間後…
バイトを終えたななこさんが
学生ホールで待っていた僕のところにやってきた。
「ごめんね~待った?」
「い、いえ…ぜんぜんです!!」
あわてる僕の様子に、
くすっと笑ったななこさんは
僕の手を取ると
「いこ?」と歩き出す。
うわ…て、手つなぎ…!!!!
メチャクチャドキドキする…
僕より6歳年上の女の人…
ずっと大人で、
すごく色っぽくて、
すごくいい匂いのするひと…。
ななこさんが連れていってくれた書店は、
本当に専門書が多い店だった。
僕が以前から欲しかった本もあったりして、
僕は夢中になり、
棚からあれこれ本を出しては
中をチェックしてみたり、感激したりしていた。
その様子を楽しげに見ていたななこさんは
僕の知らないレアな書籍も教えてくれ、
あっという間に時間は過ぎていき…
気がつけば、店内に流れる蛍の光…(ええっ??)
ななこさんは、くすくすと笑いながら
僕の顔を覗きこんで言った。
「ホントにあんたって本が好きなのねぇ…
お腹空かない?もう9時だよ??」
明るかった外はすっかり闇の中…
(うっそ~~!!!)
ぼ、僕はここに4時間もいたのぉ〜〜〜
「は、はい…さすがに…」
同時にぐぅ~っと腹の虫が(赤面)
「あははははっ」
大笑いしたななこさんは、僕の手を取ると、
「あたしのアパート、すぐ近くなの。
大したモノは作れないけど、何か食べてく?」
な、ななこさんのアパートに~~~~?????
1人暮らしの女子の部屋に行くのは
生まれて初めての経験だぁ…(鼻血)
目を白黒させてる僕を引っ張って
ななこさんは自分のアパートに連れていってくれた。
中はシンプルながらも
女の子らしい色合いでまとめられた部屋で…
「ありもので作るから、そこに座ってて~」と言われ
ちっちゃなソファに
足を折り曲げるようにして座った僕は
ほぼ固まっていた…(苦笑)
あっという間にななこさんが作った
料理が次々とテーブルに並ぶ。
煮物、和え物、揚げ物…
とてもありものとは思えない豪華さで…
「なんか飲む?」
ななこさんがビールの缶を僕に見せたが、
「僕、まだ18歳だし…」と尻込みすると、
冷たい麦茶がさっと置かれた。
「いただきま~す」
2人で遅めの晩ご飯。
ななこさんがつくってくれた料理は
どれもすごく美味しかった。
缶ビールを飲みながら、僕の猛烈な食べっぷりを
にこにこと笑いながら見ていたななこさんは
突然、もぐもぐしていた僕の口に
チュっとキスをした。
え…っ…!!!!!
手に持っていた麦茶のグラスを
そっと取り上げられて…
僕は何の抵抗もなく絨毯の上に仰向けにされて
ななこさんがその上に…
「あたし…美味しそうにご飯食べる人、好きなの」
そう言ったななこさんの唇が
また僕の唇に降りてくる…
体中の血が上に上がったり下がったりを繰り返す。
心臓が口から出そうなほどドキドキする…
「…由野くん、初めてなんでしょ?」
恥ずかしいと思いながらもうなずいてしまう。
「あたしが…教えてあげる。…いや?」
思わず首を横に振ったら、
「かわいい…」とキスを繰り返されて…
僕はほぼ気絶していたのかもしれない。
なぜなら、肝心な部分をほとんど
思い出せないからだ…(号泣)
ただ…
ななこさんの体はふんわりと柔らかくて、
花のようないい香りに体中を包まれて、
気持ち良くて(赤面)
僕はまな板の上の鯉みたいにじっとしたまま
天国に連れていかれた…。
あれから…
ななこさんとは、会っていない。
すぐに会うのも恥ずかしかった僕は
2,3日たってから学生協に行ったら、
ななこさんはバイトを辞めていた。
なんとか記憶をたどって、
アパートに行ってみたのだが、
なんと引っ越していた。
「おかあさんの具合が悪いみたいでねぇ…。
大学院辞めて田舎に帰ったんだよ」
下の階に住んでいる大家さんが教えてくれた。
僕に「はじめて」を教えてくれた日が
ななこさんの学生生活最後の日だったのだ。
今でも時々、
僕はななこさんに会いたくなる時が、ある…
僕の初めてを捧げた女性(ひと)に…
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