6人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
朝の時間
朝、バス停でバスを待つ。
そりゃね、いつも同じ時間、同じバスに乗るんだから……まぁ、大体並んでいるのも見覚えある人ばかり。
彼女はいつも僕の前に並んでいた。
僕の3つ前のバス停で降りる彼女。
今は真っ白なコートを着ているがその前もずっと見かけていたから制服は知っている。
あのバス停を降りてちょっと行ったところにある女子高の制服だった。
ハーァと息を吐いて手を擦る彼女。
手袋をしているのにそんなことをするのはいつも不思議だった。
僕は両手をコートのポケットにそれぞれ突っ込んで視界の端に入れたそんな彼女の様子を窺う。
「ねぇ」
不意に声が聞こえてそっちを見ると、彼女がこっちを見上げていた。
「あ……何でしょう」
声をかけられたことに驚きつつ、白い息と共に言葉を発する。
思っていたより声が高くて……初めて合った目は大きめのまつ毛もたっぷりある綺麗な二重だった。
「寒くない?」
「あ……まぁ……寒いですねぇ……」
とりあえず頷くと、彼女は口元に手を持っていってまたハーァと息を吐く。
白い息がそのピンクの指の隙間から漏れて消えていった。
最初のコメントを投稿しよう!