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湊は湊なりに精一杯オシャレしたんだろう。俺とのデートの為に。
そこはちゃんと真摯に受け止める。受け止めた。でも許してくれ。
燃え尽きて廃人のようになった湊をパンツ一丁に剥き、俺の無難なセーターを被せジョガーパンツを穿かせる。よくよく見たら靴下はリトルグリーンメン柄だったのでこれも俺の黒い靴下に履き替えさせた。靴は……白のスニーカーか。まあいいだろう。
つーかあのスラックスに白スニーカーて。
「俺の一番デカいコート。煙草臭いかも知れんが我慢しろ」
取り敢えずコレくらいで電車に乗ってる若者はいっぱいいる。しゅんとする湊を引き摺るようにして駅に向かい、目的地・隣町のイオンを目指す。
カタタン、カタタン、とf分の一揺らぎの電車の中でも湊は俯き気味だ。
「俺ってダサかったんだね……」
「高校大学で彼女から指摘されたりとかなかったのか」
「全然モテなかったし……ちゃんとした彼女とか居たことないし……アラタしか好きじゃなかったし……アラタが俺の初めての人だし……」
「─────ええええええ!」
いくら空いた車内でも大声を出してはいけません。
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