後日談。

8/10
244人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ
   湊は湊なりに精一杯オシャレしたんだろう。俺とのデートの為に。  そこはちゃんと真摯に受け止める。受け止めた。でも許してくれ。  燃え尽きて廃人のようになった湊をパンツ一丁に剥き、俺の無難なセーターを被せジョガーパンツを穿かせる。よくよく見たら靴下はリトルグリーンメン柄だったのでこれも俺の黒い靴下に履き替えさせた。靴は……白のスニーカーか。まあいいだろう。  つーかあのスラックスに白スニーカーて。 「俺の一番デカいコート。煙草臭いかも知れんが我慢しろ」  取り敢えずコレくらいで電車に乗ってる若者はいっぱいいる。しゅんとする湊を引き摺るようにして駅に向かい、目的地・隣町のイオンを目指す。  カタタン、カタタン、とf分の一揺らぎの電車の中でも湊は俯き気味だ。 「俺ってダサかったんだね……」 「高校大学で彼女から指摘されたりとかなかったのか」 「全然モテなかったし……ちゃんとした彼女とか居たことないし……アラタしか好きじゃなかったし……アラタが俺の初めての人だし……」 「─────ええええええ!」  いくら空いた車内でも大声を出してはいけません。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!