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重々解ってはいたけどアラタは抱かれる事に慣れている。俺はアラタに初めてを捧げるんだと童貞もア◯ルバージンも頑なに守って来た初心者も初心者だけど、それでも理解が及ぶ程度に慣れている。
ヤラシー体だなーっていつも思うしちょっと悔しい。
でもそこはもう諦めざるを得ない。
「ミナト……ギブ……まじで……」
「え、寝るの? マジで寝るの? 最中に寝るの?」
「ク───…………」
途端にくったり力の抜けた体にびっくりしたけど、これ以上は続行不能らしい。もうちょっと追い上げたら『うん』って言ってくれそうな気もしたけど、俺も鬼じゃないから一旦引こう。
「おやすみ……おっちゃん」
「ン……」
無防備な寝姿に唆られるのは間違いない。いつまでもハウスしていたいのは山々だけど、俺の場合、最も萌えるのはアラタの感じて乱れる姿と言う “正統派” だからね。
「でも、絶対逃がさないから」
やっと手に入った俺の初恋。俺の夢。俺の憧れ。俺のすべて。
アラタは俺を懐く棒かなんかと思っているかも知れないけど、いや、実際今はそれが現実なんだろうけど、それで終われるワケがない。
何が何でも俺から離れられないよう戸籍だって手に入れてみせる。
─────薄暗がりに目障りな光と耳障りなバイブ音。
あと……もう二度と出会い系にも手出しはさせない。
アラタのスマホはホームボタンのある型だ。警戒もなく眠るアラタの右手を取り、親指を軽く押し付けたら簡単に開く。今届いたメッセージのお相手はブロックしておいてあげる。そしてさっさと削除削除。
本当はマッチングサイトのアカウントごと抹消してやりたいけど、そうすると先々の動向が掴めなくなる可能性があるから温存している。誰がいつアラタに接触を図り、アラタがどんな反応を返すのか逐一監視しなければ気が済まない。
それが俺のストーカーとしての矜持なのだ。
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