2

6/11
前へ
/56ページ
次へ
   いつも何となく丸まっているアラタの背中。  が、駅へ向かい颯爽と歩を進める背中はしゃんと伸びて別人みたいだ。いつも洗いっぱなし自然乾燥がアリアリと解る髪もサラリとサイドへ流し、ツナギかTシャツ姿しかほぼ見た事が無かった服装も何かイケオジ風にオシャレしてやがる……!  オールインワンでは目立たない細い腰と小尻が魅惑的で鼻血が出そうだけど、その普段見せない姿で何処へ行く。夜も更けてからウキウキ出掛けるなんて不良か……!  俺の職場の最寄り駅を過ぎ、ターミナル駅で特急に乗り換え、遂に終点。ある程度距離を確保した扉付近からチラチラ見つめる顔は髭まで綺麗に剃って心なしか血色もいい。  そして降りた先は県まで跨いだ街にある有名な繁華街。夜だと言うのに人がワサワサ往来する地下街をアラタは泳ぐように歩いて行く。見失わないように追いかけて追いかけて、漸く辿り着いた先は某テレビ局の脇に佇むデカい公園。  ポケG◯初期、ピ◯チュウが大量発生すると話題になって俺含め老若男女が押し寄せた公園だ。  ええええええ……………  世情に疎い俺でも知っている……ココは、ココは、ゲイの皆さんが集うハッテン場であり待ち合わせスポット……!  アラタは迷う事なく公園内に口を開けた地下鉄の駅を目指し、そこに疎らに居た数人の中からVUITT◯Nのボディバッグを引っ掛けた若い男と合流した。  歩調を合わせた二人はさりげなくタッチし合ったりなんかしながら、キャッキャウフフな空気を纏い移動してゆく。おい。世情に疎い俺でも知ってるぞ。その先はこれまた有名なホテル街だ。  ラブホテルって男同士でも入れるんだーへーほーふーん、いやそうじゃなくて。  おい……おいおいマジか。マジでマジにアラタはソッチの人なのか。  じゃあ  じゃあ…………!  キタコレ正にチャンス到来。  
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

246人が本棚に入れています
本棚に追加