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流されやすいと自覚はある。
だけどせっかく肌を合わせるなら尽くしてあげたいなーと思っただけ。自分本位に入れて出すだけじゃ寂しいだろ。俺も相手も。
でもそれが『自分のして欲しい事』と言う発想はなかった。と思う……
「過去バナ聞けば聞くほどアラタってお人好しだわー」
「うるさい」
「でも、もう禁止だから。アラタがして欲しい事は俺が全部叶えるんだから」
拗ねたように俺を睨む湊が可愛い。愛おしい。
─────中毒性があるのは湊だ。
綺麗な手で柔らかく触れて。
溶けるくらいに俺を甘やかしてくれるのは湊だけ。
もう絶対に抜け出せない沼に頭までずっぽり引き摺り込まれてしまった。
抜け出したくもない。
「あ、そろそろ出よっか初デート♡」
「も、もうちょい暗くなってから……」
「ヤダ! お陽様の下でアラタとデートする! 映画館暗いし、ちょっとくらい自然光の中でアラタを見たい! 目で愛でる!」
「紫外線の残酷さを知れ。シミもシワもどんだけ浮き彫りになるか」
「シミもシワも全部俺のだからいーの!」
俺はコイツには勝てん。逆らえん。
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