4人が本棚に入れています
本棚に追加
そちらの方に走り出したものの、
昔に一度通っただけの道を覚えている筈もなく…。
「こ、ここどこ…」
いつの間にかおかしな道に迷い込んでしまった。
右に行ったら行き止まり、左に行ったら人の家。
戻ろうともどの道から来たか解らなければどうしようもない。
ともかく左手の人の家に聞きにいこうと足を踏み出せば、
こんな真冬の夜中にどこからか風鈴の音がする。
どこからかと辺りを見回すと頭上から白いものが落ちてきた。
「うぎゃっ!?」
よくよく見れば桜なのだが、不気味さが加速した私の心にとって
それは見るに耐えないものだった。
慌てて逃げ出した途端…
「イッタッ!」
足の付け根に、見えなかった錆びた黄色いポールがクリーンヒット。
そのままバランスを崩し、コケてしまった。
「今日どんだけ運悪いの…」
そう思い立ち上がろうとすると、
「これからもっと運悪くなるから気を付けてね〜」
と、上から声が降ってきた。
最初のコメントを投稿しよう!