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ピピピピピッと、けたたましい音を響かせる目覚まし時計。バンっと叩くように制止のボタンを押した。
「最悪な目覚め…」
我ながらげんなりとした声が出た。
むくりと身体を起こし、後ろ髪を引かれながらも自分の体温で温まり居心地のいい布団の中から抜け出しては、うーんと伸びをする。
遮光性のある橙色のカーテンを開ければ、勢いよく差し込んでくる朝日に目を潰されそうになる。
厚い雲がかかった私の心とは対照的に、窓の外には雲一つない青が広がっていた。快晴だ。
いつもなら「いい天気」と口許を緩ませるくらいの余裕があるが、今日は違う。まるでその快晴の空さえも皮肉に見えてしまうのはきっとさっきまで浸かっていた夢の所為だろう。
未だにあんな夢を見るなんて…
「…馬鹿みたい」
本当、馬鹿みたいに笑えない。
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