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掛け布団を手繰り寄せるように胸元でギュっと抱き締める。
「…身体は、大丈夫」
「…そっか」
小さな声でそう答えた私に相槌を打った瞬はベッドの淵に浅く腰掛けた。ギシ…とスプリングが軋む音にさえ、なんだか胸が擽ったくなる。
こういう時、どうしたらいいのか分からない。
その行為の最中よりも、時間が経ってお互い通常運転に戻った時の方が恥ずかしい気がするのは私だけなんだろうか。
暫く視線を泳がせながら口籠っていると、ふいに此方に伸びてきた大きな手が少し乱れていた私の髪をサラリと撫でた。
「言い忘れてた。おはよ」
「…、」
視線を向けた先、すぐそばに腰を下ろしている瞬はそう言いながらとても優しい笑みを向けてくるから、ジワリと目頭が熱くなった。
昨晩これでもかというほどに感じた幸福感が再び私を包み込む。
「…瞬…」
「…ん?」
目に浮かんだ涙を隠すように俯きながらその名前を呼べば、優しい響きが返ってくる。
「…私、変じゃなかった?」
「え?」
胸元の布団をより一層ぎゅうっと抱き締めながらそう聞けば、瞬はきょとんと目を丸くした。
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