ばーにゃかうださんの消失

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ばーにゃかうださんの消失

ばーにゃかうだ@低浮上気味 『諸事情によりしばらくの間ツイッターやめます。すいません…小説はまとめて支部にあげてるのでそちらへどうぞ いつか必ず戻ってきます』 えも仔 『え!?本当ですか!?寂しくなります…でもばーにゃかうださんの帰りをいつまでも待っていますね!』   まみ蔵 『右に同じくです!どうかご自愛を!』 大好きな二次創作の書き手さんであるばーにゃかうださんからの突然の低浮上ツイートに私はひどく動揺した。 ばーにゃかうださんの小説は私の生きる活力だったからだ。 かくいう私も二次創作における字書きであるが、ばーにゃかうださんの作品には遠く及ばない。 ばーにゃかうださんと出会ったのは三年前、当時旬ジャンルであったハンドボールを題材にしたアニメがきっかけだった。 私は当時毎話繰り広げられる彼らの熱い友情、青春に時には手に汗握り、涙をながし、ときめき、何度も何度も心を揺さぶられた。 この作品の二次創作もたくさんあり、私は知らない間にあれよあれよと底の見えない沼にずぶずぶとはまっていったのだった。 そこで見つけたばーにゃかうださんの小説はどの小説よりも、キャラクターへの解釈が深く、アニメでは放送されない延長戦上の彼らが忠実に描かれていた。 ばーにゃかうださんの小説に感化され私もこんな小説が書きたいと強く思わせるのにそう時間はかからなかった。 ばーにゃかうださんはその後、何度かジャンルを移っては小説を発表した。 そしてどの小説もとても一人の人間が書いてるとは思えないほど、表現や描写の雰囲気がそれぞれ異なり、何度も読み手を驚かせるのだった。 ただ一つキャラクターへの愛の深さはどの作品からも感じ取れる。 私はばーにゃかうださんの移るジャンルについていくようにそのジャンルに移り、そしてハマっていった。 ばーにゃかうださんの低浮上ツイートの数日後、 まみ蔵さんからDMが届いた。 まみ蔵『えも仔さんの今回の小説、すっごく感動しました!キャラクターへの愛の深さすごい!私めちゃくちゃ泣いちゃいましたよ!』 まみ蔵さんは今のジャンルに移ってから出会った同志であり、彼女は読み専であった。 えも仔『ありがとうございます!でもばーにゃかうださんの神小説には敵いません…いつ戻ってきてくれるんでしょうね?』 まみ蔵『どうでしょうね…最近アンチっぽいリプも増えてましたし、もしかして気を落としているのかもしれませんね』 確かにばーにゃかうださんの小説投稿ツイートにはたまに皮肉めいたコメントや嫌味な感じのコメントも目立っていたのは私も気づいていた。 もしそれで気を落としているのなら… 私はその日から小説を毎日夜遅くまで書き、毎日Twitterへ投稿した。 とにかく書いて書きまくった。 もし彼女が私の小説を読んでくれて、そしてまた創作の世界に戻ってきたいと思ってくれる活力に少しでもなればという想いが私を突き動かした。 私に創作する喜びを教えてくれたのは紛れもなくばーにゃかうださんだ。今度は私の番。 毎日小説を投稿をするようになってから2ヶ月が過ぎると少しずつフォロワーも増えていき、以前より小説の感想ももらえるようになっていった。 嬉しいコメントやフォロー通知がさらに私の筆を走らせた。   そんなある日久しぶりにまみ蔵さんからDMが届いた。 そのメッセージは何の脈略もなく唐突だった。 まみ蔵『次のばーにゃかうださんはあなたです。 あなたのキャラクターへの愛は本物です。どうか私からばーにゃかうださんを引き継いでくれませんか。』 ばーにゃかうださんのものと思われるログイン情報もあった。 その後すぐまみ蔵さんはTwitterのアカウントを削除した。 私は一体何代目のばーにゃかうださんになるのだろう。 本物のばーにゃかうださんの小説はどれだったのだろうか。 そもそも本物のばーにゃかうださんは存在するのだろうか、どこからが本物でどこからが引き継ぎ? そしてそれらを本当に知る人はいるのだろうか。 私はみんなの望むばーにゃかうださんになれるのだろうかという不安を胸に、私はばーにゃかうださんのアカウントにログインした。
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