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昨日は司馬遼太郎の命日だった
あれから4半世紀経ったと思うと感慨深い
当時、18歳の僕は第2の司馬遼太郎になろうと燃えていた
だがこれは作家としての成功を望む野心でもあった
結果が出せない日々が続き本来の夢を忘れていた
僕が司馬作品に心ひかれたのは作品内に登場する坂本竜馬や土方歳三などのヒーロー性に憧れたのが大きかった
そんなヒーローから感じるロマンを描きたいという澄んだ青空のような想いはほとんど消えていたのだ
しかし司馬もそんな純粋な想いだけで創作していたかといえばそうでもない
司馬の命日を記念して放送された、司馬をとりあげるテレビ番組で「『梟の城』の成功で自信を深めた司馬は職業作家として独立した」と言っていた
僕が28歳の時に読んだ『世に棲む日日』の解説でもそんなことが書かれていた
社会的に認められ金を稼げるようにならないと作家として成立しないという意味だと若き日の僕には思えた
だが今はそうは思っていない
岡本太郎は「成功しないように認められないように、そう思いながら創作している」と言っていた
そういう作品じゃないと本当の意味での魂のこもったものにはならないと
人からの評価を求めたら媚びを売った空虚な作品になると
司馬遼太郎からは得られなかった答えが岡本太郎によって見つかった
だが岡本太郎はそういう姿勢で創作していても結局は大衆に認められていた
認められることなく創作し続けたヒーローたち…種田山頭火、藤本箕山、尾崎放哉、ゴッホ…
僕のヒーローはこんなふうに4半世紀で変遷していった
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