健一郎の憂鬱

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「なあ、今日ボクん家来ない?」 「いいけど、何で?」 「オバケ見たくない?」 「……オバケ……?」 「うん、ボクん家に居るんだ」 あまり気乗りしてないように見えが、悟は「うん」と、頷いた。 放課後、ボクと悟は一緒に校門を出て、ボクん家へと駆け出していた。 「本当にオバケいるのか?」 悟の問いに、 「うん、居るよ」 ボクは笑いながら答えた。 商店街を抜け、公園の中を突っ切る。このほうが近道なのだ。 「ただいま~!」 玄関を開け、スニーカーを乱暴に脱ぐ。 と、たった今乱暴に脱ぎ散らかしたスニーカーがスーッと動き出し、綺麗に両方揃った。 悟の驚く顔がチラッと目の端に見えた。 ドタドタと二階へ上がり、ボクは部屋へ入る。 そのすぐ後を悟が続く。 ほどなくしてから、部屋のドアがノックされた。悟がボクの顔を怪訝な表情で覗き込んだ。 「はーい」 ボクは元気良く返事をしてから、そっとドアを開けた。トレイに置かれたジュースとお菓子が足元にあった。 「おやつ食べようぜ!」 ボクはそれらをテーブルに置き、コップにジュースを注ぐと悟へ渡した。 「これ……って……」 恐る恐るコップを受け取る悟の声が震えてる。 「大丈夫!お母さんがしつけたオバケだから」 「何が大丈夫なんだよ!オバケをしつけるなんて、そんなこと出来るわけないだろ!」 いささか興奮気味の悟だ。 「もう、帰るよ!」 言いながら悟は立ち上がった。 玄関へ行くと、悟のスニーカーがない。 「たぶん、オバケのイタズラだよ。ボクのスニーカー貸すから履いて行きなよ」 慌てて走り去る悟の後ろ姿を横目に、ボクはおばあちゃんの部屋へ向かった。 「おばあちゃん!ボクの友達にイタズラしないでよ!」 お煎餅をかじりながら左手に湯飲みを持つおばあちゃんに、少し強く言った。 いくら魔女の末裔だからって………
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