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「君と会話したから、少し思い出して。
レポートの文献を探すついでに、寄ってしまった」
確かに彼は分厚い学術書を数冊、脇に抱えていた。
「ここでも何か、借りるんですか？」
すると彼ははにかみながら、
「いや、流石にそんな挑戦的なことは、やめておこうかな」
「私へのアンチテーゼ？」
「前も思ったけど、君はかなり皮肉屋だね」
「そうですか？ ハンバート・ハンバートほどではないと思うけど」
「あんな自己陶酔野郎、中々いない」
私は思わず笑ってしまった。
彼の口からそんなに過激な言葉が出てきたのが、おかしかったのだ。
しかし思い返してみれば、彼のプライベートな読書歴は結構人に言い辛いようなことを言っていたことを思い出し、さてはこの人、腹にイチモツ抱えているな、と勘ぐった。
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