14人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんでこうも、毎回自分に興味なさそうな人ばっかり好きになるんだろうね」
「自分のことを好きになってくれる人のことを、好きになれれば苦労しないのにね」
由佳の言葉は的確に私の心を抉るけれど、それでも私がいつも彼女の意見を求めてしまうのは、彼女が私以上に私のことを正確に分析して把握している、優れたアナリストだからだ。
でもそのアナリストが側についているにも関わらず、私の恋愛経歴は全く豊かなものではない。
一度、相手から告白されて付き合ったことがある。
あれは高校二年生の秋のこと。
そして振ったのは、私。
何回目かのデート、紫がかった港町の情景と、彼の傷ついた顔が未だに瞼の裏に焼き付いて離れない、あの夕べ。
どうしてあの時、彼の手すら取れなかったんだろう。
最初のコメントを投稿しよう!