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歳は違うけれど、同じマンションの同じフロアで育った渚ちゃんと私は幼馴染に近い。
大体幼稚園から小学生くらいの子供たちは、マンションの中庭のような空間で、走り回ったり縄跳びをしたりして遊ぶのが慣習となっていたし、部屋も近いしで、特別私たちは仲が良かった。
けれど、三歳年が違えば、それぞれが歩む人生のフェーズは異なる。
特に、学生時代の間には。
そんなわけで、昔からよく知っていて、限りなく近所に住んでいて、ある程度の学力も担保されている私に、家庭教師としての白羽の矢が立った。
「だから、フランソワ一世は確かに負けばっかりにみえるけど、ハプスブルクに対抗するために異教の勢力と組んだり、カナダに領土拡大していたり、当時の教皇レオ十世と政教和約してフランス国王が国内の聖職者任命権を持つことを認めさせて、中央集権国家の礎を築いたりと、先進的な考えの持ち主だったってこと」
さあ、これでひと段落だよ、と言うと、彼女は椅子の上で一気に脱力した。
まるで猫のようなしなやかさ。
長い手足と髪の毛が、ぶらりぶらりと揺れている。
「てかさー、」
「ん?」
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