フラミンゴ色に染まった

6/16
前へ
/36ページ
次へ
「ほぼ好きじゃん」 「でも、まだほとんど直接話したことはなくて、」  そう、だから、まだ確信が持てないんです。  多分、たとえ年下であったとしても、由佳よりも渚ちゃんの方が、はるかに私のことを長く深く知っているから、変にごまかしたり、嘘ついたりするのには、抵抗がある。  けれど、なんとなく年下の子に、適当なことを話すべきではない、とも思ってしまうのは、誠意なのか意地なのか。 「どんな返信を待ってるの?」 「やー、映画に誘ってみたんだけど」 「まだ返信こない?」 「ではないみたい」  ぷっと渚ちゃんが噴き出す。  何かおかしなことを言ったか。 「帆波ちゃんってさー、たまにオバサンみたいなワード使うよね。 わざと?」 「お、オバサン……⁉」  投げかけられた言葉へ対するショックに凍りついた瞬間、ブーっとスマホが鳴り、私の精神は急速解凍された。 渚ちゃんも持て余したように弛緩させていた身体を、トーストのごとく跳ね上がらせ、ずいっと画面を覗き込む。 「おっ、けー、でました……」 「よかったじゃん!  てか、ナギっていうの、この人?  あたしと名前、似てんね」
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加