釣った魚に愛をください ~short version~

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 あれは大学の頃のこと。  私は、病気で体が不自由になったおじいちゃんの所へ訪問する看護師さんやヘルパーさんを見て、介護福祉士を目指そうと福祉系の大学で学んでいた。  大学では同じ学科で何かと気の合う友達とよく行動するようになった。  私、水嶋(みずしま)(ゆず)と、奈緒(なお)(つかさ)(さとし)朝哉(ともや)美波(みなみ)の、男子3人女子3人のグループ。  よく遊びに行ったり、呑みに行ったり、馬鹿なことを言って笑い合ったりした。  私は司のことが好きだった。そしてもう1人、奈緒も司のことが好きだった。  私と奈緒はお互いに、司に好きになってもらえるように頑張ろうねとか、司が2人以外の誰かを好きになったら一緒に泣こう! と約束していた。  大学4年の秋。突然、奈緒が言い出した。 「卒業して就職したら離れ離れになっちゃうから、1泊でいいから皆と旅行がしたい! 温泉がいい!」  そして私たちは1泊2日で旅行をすることになった。
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