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「よ、良樹」
「久しぶり。元気だった?」
卒業してから4年後の春。俺は、あの場所へと来ていた。外はまだ肌寒く、桜の花はまだかまだかと蕾の中で春のやわかな日差しを待ち望んでいる。
「も~さ、聞いてくれよ。うちのくそ社長。新人だからって雑務ばっか押し付けるんだぜ?なんなの?俺に恨みでもあんの?」
「そう思うなら「嫌だって」断ればいいのだろ」
「あぁ、分かってる分かってる。お前なら断れんだろうなぁ…。良樹はハッキリしてるもん」
ぼっーと空を見上げると空に舞う雲が形を留めず、離れては、くっつき。離れてはくっつきを繰り返している。はぁー…とため息をつくとその息は白く染って空気に溶けていった。
「なぁ、良樹。俺が告白した時のこと覚えてる?」
「うん?あぁ…覚えてるよ。桜が散り始めた頃かな。ベタに体育館裏に呼び出してさ、顔真っ赤にして告白して」
「あの時は、恥ずかしかったな~…でも、本気で良樹に恋してたんだ」
「………俺もだよ」
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