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俺とあいつが付き合い初めて数ヶ月過ぎた頃。いつもより、少し遅く教室に入ると教室の中がざわざわと騒がしかった。
「なんかあったの?」
近くにいたクラスの女子に状況を聞くと、そいつは、「いや…」と曖昧な返事を返した。俺は、状況を確認する為に人混みの中をかき分けていく。
「え……」
教室の中に入ると俺とあいつがあの場所で唇を重ね合わせている写真が黒板中に貼られていた。誰にも見つからないようにお互いに気をつけていたのに。
誰が…誰がばらした…??何処で見つかった?頭の中が混乱する中、俺は、ただただ無心になって黒板の張り紙に手を取っていく。
「お!!御相手の登場!!」
「彼氏が来たぞ!!」
と、数名の男子がそんな声を上げた。ケラケラと耳障りな笑い声を浮かべる。するとこの騒動の中心であろう男子が「ほらいけよ」と誰かの背中を押した。
「あっ…………」
「良樹……ごめん。俺……」
俺は、その姿に声が出なかった。制服を脱がされ、下着姿になったあいつは目に涙をため、その場にしゃがみ込んだ。
体には無数の痣があり、あいつは立つ力さえ残っていなかった。
「大丈夫…大丈夫だ」
俺は、自分の制服をあいつ被せ傷つけたであろう奴らを強く睨んだ。奴らは、それを見ると楽しそうに笑った。
「彼氏が怒ってるぞ~!」
「男同士で気持ち悪い~!」
なんで。なんでだよ…….。ただ性別が違うだけでどうしてここまで言われなきゃいけない。なんなんだよ。
何なんだよ!!!!
俺は、自分の中に湧き出た怒りを言葉には出さず教卓の机にぶつけた。ドン!と大きな音と共に教室は静まり返る。俺は、あいつを抱えてその場から立ち上がった。
反抗したってそこから生まれるのは理解じゃない。ただの偏見が大きくなるだけ。
あいつを抱え、少しずつ歩き出すとクラスメイトは俺たちを避けるようにその道を開けた。
「おい!待てよ!!待てって」
中心の男子生徒が俺の肩を掴み、足を止めた。
「なんだよ」
「お前ら本当に付き合ってんのな」
「それがどうした」
冷たい口調で返すとそいつは、薄ら笑いを浮かべて「どっちからだ?」と聞いた。
「……どっちって?」
「どっちから付き合おうって言ったんだよ。教えろよ」
そんなのを聞いて何になる?特に意味もないんだろうな。こいつらにとっては、ただの面白い道具。
だったらその道具になってやるよ。
「俺だよ。俺から告白した。」
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