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「あの時…良樹が助けてくれなかったら俺、ここに来れなかった。恥ずかしくて惨めできっとここにいなかった。」
「俺は…俺は何もしてねーよ…。お前を守りたかった。それだけ。」
「でも、でもさ。俺が1番悔しかったのは良樹。お前を助けられなかったことだよ」
「………」
気を抜いたら涙がこぼれ落ちてしまいそう。下唇を抑え、上を見る。しかし、徐々に視界が歪んで空が見えなくなっていく。
良樹はあれがきっかけでクラスでいじめの標的とされた。俺は、というとまともに教室には行けず保健室登校をしていてクラスの人間と関わることはほとんどなかった。
良樹は、いじめを受けても何も変わらなかった。いつもの良樹で。俺が好きになった良樹。
でも、それ見せないだけだった。
「なぁ、良樹。ごめんな。ごめん。お前が苦しい時にそばにいてあげられなくて……。何の力にもなれなくて…ごめん。ごめんな」
「お前のせいじゃねえーよ。。俺が…俺が口の割に弱かっただけだろ?」
流れ出した涙はもう止まることを知らない。ポタポタと地面が濡れて小さな丸いシミが出来る。
なぁ、会いたい。会いたいよ。良樹。
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